脳梗塞(こうそく)で入院し、最初のリハビリは、タオルの上にまいた大豆を指でつまみ、箱に入れる方法だった。しかし、感覚を失った左手ではうまくつまめず、入れる途中で飛んで行ってしまう。「豆が飛びます、飛びます」とシャレてみたが、ろれつが回らず、うけなかった。
次第にイライラが募っていった。「脳梗塞はあまり痛みがなく、病気という実感がないんです。ところが体は自由にならないから、イライラする。看病してくれたママ(妻)には何度もあたってしまいました」
2003年11月に退院。在宅リハビリを続けながら、翌年6月に萩本欽一さんと競演する東京・明治座の舞台での復帰を目指すことになった。
「欽ちゃんから、車いすでもいいから出て欲しいと言われました。リハビリ中の病人にかける言葉ではないですが、どうしても坂上二郎が必要だ、早く元気になって、という欽ちゃんらしい激励の言葉だったんです」
舞台が近づくと、リハビリにますます熱が入った。理学療法士を雇って在宅でのリハビリを充実させ、専門家のもとで発声の練習を続けた。1日8000歩以上のウオーキングで、体力も徐々に回復していった。
(2007年7月22日 読売新聞)
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