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見守り付きの高齢者住宅 急増

 昨年秋に登場したサービス付き高齢者向け住宅が急増している。安否確認や生活相談に乗ってくれる職員が常駐し、独居高齢者が安心して暮らせるように配慮した賃貸の集合住宅だ。「ご近所同士」の付き合いを促す工夫など特色ある取り組みも広がっている。


 「プライバシーが保たれ、なおかつ職員が気に掛けてくれる。安心して生活できます」。東京都品川区の「区立大井林町高齢者住宅」の樺澤信子さん(68)はそう話す。


 5階建ての住宅には95人が入居。平均年齢75歳。室内は段差をなくしたバリアフリー構造だが、一見1Kのマンションと変わらない。樺澤さんは一人暮らし。毎日のようにフラダンスなどの習い事に出かけている。当然、自炊するのも外食するのも自由だ。


 一般のマンションと大きく異なるのは、国の基準で安否確認と生活相談をする職員の配置が必須条件として定められていること。大井林町高齢者住宅では、管理を担当する社会福祉法人さくら会の職員が24時間体制で常駐。各戸の浴室や居間などには緊急通報用ボタンが設置されている。


 単身の場合、家賃は月額7万5000円、他に安否確認などの生活支援サービス費等で2万円。収入に応じて区から家賃助成がある。


 高齢者住宅研究所(大阪市)の調査では、今年9月時点の戸数は全国で7万1451戸(2256棟)。1月の8455戸(250棟)から大きく増えた。家賃には幅があり、半数近くを占める18平方メートル以上20平方メートル未満の家賃は5000円~17万5000円。


 安心のためのサービスは様々。デイサービスセンターや訪問看護ステーション、グループホームなどの事業所を同じ建物内に併設しているケースも多い。近隣の病院との連携を強調している住宅も。


生きがい、楽しみも提供


「アイビスコート」の外観。一般のマンションと見分けがつかない 介護や医療面の安心だけでなく「生きがい」「楽しさ」を打ち出しているケースも。大阪市西成区の「アイビスコート」は、屋上に菜園があり入居者が手入れをする。11月上旬に訪れると、サツマイモなどを収穫しながら会話を楽しんでいた。玄関の清掃を日課にしている人もいる。


 同住宅を運営する社会福祉法人「ヒューマンライツ福祉協会」の遠藤忍さんは「生きがいや楽しさも提供することは心身の健康につながる」と話す。


 神奈川県大和市の「シャロームつきみ野」では月1回、入居者と職員が参加するミーティングを開く。提供される食事について要望を聞いたり、花見などのイベントを企画したりする。運営するNPO法人「シニアネットワークさがみ」理事長の古居みつ子さんは「せっかく集合住宅に住んでいるのだから一つのコミュニティーとして支え合っていくことが大事だ」と話す。


 福祉政策に詳しい三菱総合研究所主任研究員の福田健さんは、「自分らしい生活を求める団塊世代が高齢期を迎えており、『楽しさ』を打ち出す高齢者住宅は今後増えていくのでは」と予測する。


介護対応 今後の課題


1Kのサービス付き高齢者向け住宅の室内。バリアフリー構造だが、入居者の今後の状況によっては、「見守り」にとどまらないサービスが求められる可能性も(東京都内で) サービス付き高齢者向け住宅では、見守りサービスなどを行う職員を配置することが義務付けられているが、その人数についての規定はない。このため、介護を必要とする人が増えていった時、十分な対応ができるのか懸念する声がある。急増する同住宅の質を、どのように保っていくのかも今後の課題になりそうだ。


 東京都社会福祉協議会が今年8~9月に37か所のサービス付き高齢者向け住宅から回答を得たアンケートによると、入居者像として要介護4、5など、介護の必要性が高い人を想定しているのは11%にとどまった。だが今後、入居者が年齢を重ねていくにつれ、本格的な介護が必要になる状況も想定される。


 こうした住宅で介護保険サービスを受けたい場合は、入居者が外部の事業所に個別に申し込むことになる。しかし、夜間などに迅速さが求められる排せつ介助や、認知症の徘徊(はいかい)行動などに対応できるのかという課題は残る。


 高齢者住宅経営コンサルタントの濱田孝一さんは「介護の必要性が増した時に、どんなケア体制を組むのかが後回しになっていないか。見通しが甘いまま建設ありきで進んでいくと、結局は入居者にしわ寄せがきてしまう」と話す。


業者の質 見極めも必要


 参入事業者の質を心配する声もある。


 茨城県つくば市は、市内にサービス付き高齢者向け住宅を建設させない方針を宣言している。同市高齢福祉課によると、2010年に行った市民対象の意識調査で持ち家率が高く、在宅での介護を希望する人が9割だったことに加え、悪質な業者の参入を警戒しているためだ。過去に市内に建った高齢者住宅で、事業者が入居者の生活保護費を召し上げているといった情報が寄せられたこともあったという。


 しかし、サービス付き高齢者向け住宅の建設について審査をし、登録を行うのは都道府県、政令市、中核市。それ以外の自治体に建設の可否を決める権限はない。「地元に高齢者住宅のニーズはないのに、問題だけ持ち込まれはしないか」(同課)と心配する。


 サービス付き高齢者向け住宅は高額な入居一時金が必要ないので、利用者は引っ越しに近い感覚で自由に選べる。「人気のない住宅には人が集まらない。そのうちに淘汰(とうた)の時代が来るのでは」。サービス付き高齢者向け住宅協会事務局長の奥村孝行さんはそう話し、「サービスや運営の適正さをランク付けするなど評価の仕組みを検討していきたい」と説明している。


サービス付き高齢者向け住宅


 原則的に部屋の広さは25平方メートル(十分な広さの共用の居間や食堂などがあれば18平方メートル)以上。事業者は少なくとも安否確認と生活相談サービスを入居者に提供する義務がある。介護サービスが必要な入居者は外部の介護事業所と契約する。国は、建設を促進するため、事業者に対し建築費の一部を補助している。


〔2012年11月20日 読売新聞〕


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【 2013/10/31 】 訪問看護ニュース | TB(0) | CM(0)
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